こんにちは。
税理士の関口義宏です。町田市つくし野で会計事務所を経営しています。
前回は、商業の原価計算を確認しました。
※まだ、読んでない方は、こちらをご覧ください。
商業の原価は、売れたものを原価に計上しますので、誰でもよく理解できたでしょう。
今回は、製造業・建設業の原価計算を見ていきます。
製造業等の法律で決められている原価計算は、FC(全部原価計算)と言い、簡単に言うと、工場や工事現場等でかかった経費は、原価にする方法です。
製造業を例に数字を見ていきましょう。
製品を作るのに材料代が、50円かかります。
工場の人件費が月100万円。家賃が50万円。水道光熱費等のその他の経費が30万円かかっている工場があります。
●11月は、1万個の商品を作りました。
この場合の商品1個あたりの原価をは、次のようになります。
材料代、人件費、家賃そして経費の合計額を販売数量で割り算します。
(50万円+100万円+50万円+30万円)÷1万個=230円
●12月は、忙しくて、2万個の商品を作ることになりました。
その場合、原価は減ると思いますか?増えると思いか?かわらないと思いますか?
私が経営者ならば、11月も12月も同じものを作っているのだから、原価が変わっては、利益想定が出来ませんからとっても困ります。
どうなるか、計算してみましょう。
材料代は、1個当たり50円で変わらず。人件費は、ちょっと残業があったので、110万円になりました。家賃は変わらず50万円。その他の経費は、忙しかったのでちょっと増えて40万円かかりました。
工場の経費の合計額を出して、製造数量で割り算し、1個あたりの原価を計算します。
(100万円+110万円+50万円+40万円)÷2万個=150円
11月は、1個当たり230円。12月は、1個当たり150円。
この変動は、どう考えればよいのでしょう。
原価を基に販売価格を計算している会社だったら、11月と12月の販売価格を変える検討が行われるかも知れません。
たくさん作れば、原価が減るのであれば、とにかくたくさん作れ!!と経営判断を下す経営者もいるかもしれませんね。
恐ろしいことです。
毎月毎月、経費も販売数量も変わらないということは現実にはあり得ません。
そうであれば、毎月販売価格を変えなければいけないでしょうか?
このように、FC(全部原価計算)では、経営の判断を行うことはできません。
経営判断は、製造業・建設業であってもDC(直接原価計算)で考えます。
原価は、販売数量に比例して変動する材料代のみ。それ以外は原価計算には、関係させません。
すると、商品原価は、1個当たり50円で変わりません。
その商品を1個当たり300円で販売しているならば、1個販売すると250円会社の利益になります。
11月の人件費、家賃、経費で計算すると、合計額が180万円。
180万円÷250円=7,200個
7,200個販売すると、工場の経費がまかなえると考えるとわかりやすいですね。
経営判断する場合の原価計算は、DC(直接原価計算)で行いましょう。