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退職金準備のための保険活用

2016年12月27日(火)

こんにちは。
税理士の関口義宏です。町田市つくし野で会計事務所を経営しています。
 
経営者の退職金準備のために、保険を活用している会社が多数あります。
「経営者の退職準備と同時に節税になる。税金を払うのなら、退職準備をしましょう」と言われますが、会社のためになるのでしょうか?
 
契約内容は、会社が契約者で保険料を支払い、経営者が被保険者になります。経営者にもしものことがあったときに保険金が会社に入ります。
保険料支払時は、通常、半分が経費になり、半分は積立金が増えていきます。契約時点の被保険者の年齢等にも寄りますが、解約したときに支払った保険料以上のお金が戻ってくる場合もあります。が、それは30年ぐらい保険料を払い続ける必要があります。
 
税金の計算はどうなるかというと、退職金を準備するための保険契約は、一般的に半分経費で半分は資産計上の契約です。
100万円保険料を払った場合、50万円は経費になり、50万円は経費になりません。
 
100万円利益が出た場合に、そのまま税金を払った場合と保険契約した場合お金がどのように動くか見ていきましょう。
 
●そのまま税金を払った場合
100万円利益が出たら、中小企業は大体30%法人税がかかりますので、30万円税金がかかります。
100万円(利益)ー30万円(税金)=70万円
税金を支払ったのち、70万円は手元に残ります。
 
●保険契約した場合
半分が経費で半分は経費になりません。
100万円(利益)ー50万円(保険料)=50万円(保険料差引後利益)
50万円×30%=15万円
15万円が税金です。
100万円(利益)ー100万円(保険料)ー15万円(税金)=▲15万円
 
保険を契約して、税金対策をした場合、税額は30万円→15万円と半分になりました。
節税は成功です。
しかし、手元に残るお金は、70万円→▲15万円と85万円も少なくなります。
手元のキャッシュが大分減ってしまいます。
 
保険で退職金準備をする場合、多額のキャッシュが社外に出て行きますので、長い期間しっかりと利益を出し続ける必要があります。
税金が出たから、すぐにその対策として、保険契約しようと言うのではなく、長期間にわたり相当な現金預金が社外に払い出されることを認識してから、契約する必要があります。
 
長期間の契約を、払い切ることができれば、支払った保険料と同程度の解約返戻金を受け取ることができます。契約期間は、無料で保証を受け取れる権利があるので、かなり得になります。
そのためには、長期間利益を出し続け、豊富な現金預金が必要になります。
目先の税金対策で、退職金準備をすることはかなり危険です。
長い目で先の状況を検討して、加入しましょう。

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