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会計の歴史

2016年10月04日(火)

こんにちは。

税理士の関口義宏です。町田市つくし野で、会計事務所を経営しています。

現在の会計は、複式簿記で行います。
複式簿記とは、取引を二つの面から考える方法です。
例えば、商品を現金100で販売した場合には、現金が100増えて、売上が100増えると考えます。
仕訳で表すと、次にようになります。
 
 (現金) 100  / (売上高) 100
 
このように、一つの取引に対して、二つの項目で処理するのが複式簿記です。
 
その複式簿記、最初に表されたのが、今から500年以上前の14世紀イタリアで、ルカ・パチョーリが書いた『スムマ』と言われています。
この頃のイタリアは、地中海貿易で大変繁栄していました。
地中海のそれぞれの都市に船で行って、それぞれの土地で売買をして帰ってくる。
事業の期間も長期間にはならず、「儲かった」「損した」が非常にわかりやすかったと思います。
 
その200年後オランダで、大きな発展があります。
この頃になると、世界初の株式会社と言われているオランダ東インド会社が設立されるなど、組織が大規模になります。
ヨーロッパでお金を集めて、船でインドへ行き、香辛料を船いっぱい買って帰ってきて、ヨーロッパで販売する。
今までは、地中海という狭い範囲で事業をしていたので、商売の決着がすぐにつき、お金を出した人がすぐに分配を受け取れました。しかし、インドまで香辛料を買い付けに行って、ヨーロッパで販売するとなると、事業の期間が長くなります。
今までの1回の貿易で儲かった、損したがわかっていた時の会計では、対応しきれなくなりました。会社は、長期間続くことが前提となりました。
お金を出した人は、何年間も黙って待っていてくれればいいのですが、そういうわけにはいきません。分け前はちゃんともらえるのか、報告が欲しくなります。
そこで、損益を1年ごとに計算する、期間損益計算の考え方が生まれます。
また、任意に損益計算の期間を区切りますので、現金が入金したら、売上を認識し、現金を支払ったら経費を認識する、現金主義では、ちょっとトラブルが発生します。
お金を出してもらった方の会社は、なるべく配当を後回しにしたいですね。
そうすると、3月31日が決算日で、3月31日に売り上げが入金される予定があります。そしたら、得意先にお願いをします。「3月31日の売上を4月1日に入れてくれ」と。現金の入金の時に売り上げを認識していると、本来ならば、今期に売り上げが計算される要諦だったものが、来期に繰り延べられます。繰り延べられた売上の分だけ利益が減ってしまいますので、分配される金額も減ってしまいます。
これでは、お金を出した人が損をしてしまうなど様々な理由から、売上が発生したら、現金の入金にかかわらず、売上を認識し、経費も確定したら、支払いの有無にかかわらず、経費を認識する発生主義になりました。
 
発生主義だと、現金の収受にかかわらず、売上、経費は計算しますので、取引先と相談して、利益の繰り延べなどはできなくなりました。
その計算方法が、現在の会計にも受け継がれています。
売掛金が多い会社などは、利益がたくさん出ていても、現金預金は、手元にあまりなく、税金の支払いに苦労するなんてことがよくあるでしょうね。(関口)
※文章は、わかりやすさを重視しているため、フィクションが含まれていることをご了承ください。

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