こんにちは。
税理士の関口義宏です。町田市つくし野で、会計事務所を経営しています。
貸借対照表は、流動性配列法で表示されます。
流動性配列法とは、資産は、現金化されやすい順番に表示し、負債は、支払い期限が早い順番で表示する方法です。
具体的には、貸借対照表左側の資産は、上から「流動資産」「固定資産」「投資その他の資産」「繰延資産」と表示されます。
貸借対照表右側は、上から負債の部が表示され、次に資本金等の純資産の部が表示されます。
負債の部は、上から「流動負債」「固定負債」と表示します。
純資産の部は、まず、株主からの出資である「資本金等」が表示され、その次に会社ができてからの利益の積立である「繰越利益剰余金」が表示されることになっています。
貸借対照表は、経営者の意思決定で創るとお伝えしました。貸借対照表をどのような形に持って行くのが良いのかは、流動性配列法に隠されています。
資産から見ていきましょう。
会社経営は、現金に始まり現金に終わります。
最も重視しなければいけないのは、現金預金です。資産の部は、なるべく上を充実させることを目指します。
「必要以上に在庫を持たない」とか「不要な土地は売却して現金化する」など、できる限り現金を充実されることを目指しましょう。
現金預金は、他社との差別化でも重要な役割を果たします。
設備投資する時、景気が良い時は他の会社も設備投資する需要があります。しかし、景気が良くない時は、他の会社は設備投資を控えます。
他社が設備投資したい時と設備投資を控えたい時であれば、他社が設備投資を控えている時に設備投資したほうが、安くすみますよね。
まずは、現金預金を重視して、会社の基盤を強くしましょう。
関口会計では、顧問先に現金預金残高の目安は35%(現金預金➗総資産✖️100)を目標にしていただいています。
お金に困らない運営をしている会社の割合を調べると、35%以上のところが多いです。
貸借対照表の右側は、資金の調達方法を表示します。
一番良い調達方法は、返済する必要のないお金です。つまり、利益の積み上げである「繰越利益剰余金」や株主からの出資である「資本金」を充実させます。
次に良いのは、5年とか7年とか長い期間かけて返済していく「長期借入金」。最後に、1年以内に返済期限が来る「短期借入金」となります。
このように、右側はなるべく下の方を充実させていくことが重要です。
設備投資をする場合には、その資金は必ず長期借入金でまかなうようにしましょう。
現預金があったとしても、借り入れした方が良いでしょう。
ちなみに、流動資産・負債と固定資産・負債は、どのような基準で分けるかと言いますと、1年基準と正常営業循環基準で区分します。
1年基準は、その期の決算日までに現金化・支払期限が到来するものを「流動資産・負債」とし、決算日を超えて現金化・支払期限が到来するものを「固定資産・負債」とする基準です。
正常営業循環基準は、例えば売掛金の回収期限が3年先だった場合、1年基準で考えると固定資産となりますが、売掛金の回収が3年先がその会社にとって通常の営業の流れである場合は、1年を超えていたとしても、流動資産として区分する方法です。
貸借対照表の資産(左側)は、なるべく早く現金化されるものを多く持っていた方が会社が安定するので、上を充実させてください。
負債・資本(右側)は、支払期限がないものや支払期限がなるべく先に到来した方が、資金的な余裕が生まれるので、下を充実させていきましょう。(関口義宏)