「女子高生社長、ファイナンスを学ぶ」SBクリエイティブ株式会社 石野雄一著
2018年1月5日初版第1刷
まず、本のタイトルに目が惹かれました。
「こんなときにいうべきことではないかもしれないけど、森下書房は倒産するかもしれない、、、」
こんな一言から始まる物語。
高校2年生の女子高生が父親の急死により、父親が経営していた出版社の後を引き継ぐことになります。
しかし、その出版社は利益がでているのに、倒産寸前ということを知ります。主人公がファイナンスの知識を勉強し、
様々な問題を解決しながら、会社を立て直していくなかで、経営者としての才覚を発揮していきます。
私だったらどうするだろう?と思いながら、読み進めました。
利益はでているのに、会社が倒産するとはどういう状況でしょう?
例えば、売上を、当月末締めで、翌月末入金、
仕入を当月末締めの、翌月20日払いにしていると、売上の入金よりも仕入れの支払いが10日間早くなるので、
資金繰りが、厳しくなるのは当然です。
入金や支払いの期限は一度決めてしまうと、支払いを遅らせたり、入金を早くしたりできないので、
取引を開始する際に、よく考える必要があると思います。
また、在庫管理をしっかり出来ていない会社はどうでしょうか?
物を売っている会社は決算で、棚卸しをします。決算時に棚卸資産は経費には計上されていないけど、
支払いはでています。このような場合、現金の動きと利益の動きが違ってきます。
このような要因が重なり利益はでているのに、キャッシュが少なくなる会社になってしまいます。
キャッシュが少なくなる→何もできなくなる→支払い等が滞ってしまう→倒産となってしまいます。
キャッシュの動きを注意しながら、経営していく必要があるでしょう。
会社経営にはキャッシュがいかに重要であるかを考えさせられる、一冊でした。お薦めです。(松田)