「人事屋が書いた経理の本」トーテック社 協和醗酵工業株式会社著
1978年7月5日第1刷
私がこの本に出会ったのは2006年でした。
2002年12月の税理士試験の発表で5科目合格し、2003年4月に税理士登録を行いました。
税理士試験には「簿記論」「財務諸表論」の2科目会計に関する科目がありますから、「税理士試験に合格した人は=会計のことがよくわかっている人」と多くの方が勘違いしています。
「簿記論」「財務諸表論」は、会計帳簿の作成方法の勉強ですから「税理士試験に合格した人=会計帳簿の作成についてよくわかっている人」です。
税理士試験には、会計を経営に活用する科目はありません。
例えば、自動車レースを思い浮かべてみてください。レースをするとき、ドライバーとメカニックに別れています。
メカニックは、自動車を組み立てられますが、上手に車を運転できません。
ドライバーは、上手に車の運転はできますが、自動車を組み立てられない。
メカニックもドライバーも自動車に関連していますが、得意な分野が違います。
つまり、税理士試験に合格すれば、会計を経営に活用できるわけではありません。
税理士に、アドバイスを貰う場合、よく相手を見たほうが良いと思いますよ。
私は、税理士登録をしてから、会計を経営に活用できる方法はないかと思いいろいろな本を読みました。その中で、最も実践的でわかりやすく書かれていたのが、この「人事屋が書いた経理の本」です。
会計を勉強している人は、利益を出すためには、「売上を上げる」か「経費を下げる」方法しかないと思っています。
しかし、本書では、売上高をP(販売単価)とQ(数量)に分解して考える。
単に売上を上げるのではなく、P↑Q→販売単価を上げて販売数量はそのまま維持する方法やP→Q↑販売単価はそのまま販売数量を増やす方法。P↓Q↑↑販売単価を下げて販売数量をたくさん上げる方法など、方法は色々有るのです。
でも会計的に考えると「売上を上げる」しか発想が出てきません。
「経費を下げる」に関しても、経費には下げて良い経費と下げてはいけない経費があります。
消耗品費や水道光熱費など無駄使いをしているものは、下げないといけない。
しかし、広告宣伝費や研究開発費などを削減してしまうと、売上を下げてしまいます。売上が下がれば更に経費を節減する→更に売上ダウン・・・
まさに悪循環に陥ってしまいます。
そのほかにも、損益分岐点を経営に活用する方法や採算とはなにか?
黒字倒産になるのはどんな状況か?など
会計を経営の意思決定に使うための方法がわかりやすく書かれています。
この本は、初版が1978年。今注文すると2017年11月第152刷です。
最近、本はすぐに絶版になってしまいますが、この本は発行されてから40年以上売れ続けていて、沢山の方々が読んでいる本です。