こんにちは。税理士の関口です。
町田市つくしので会計事務所を経営しています。
決算日が近づいて、会社に利益が出ている経営者の方気をつけてください。
税金を払うのを極度に嫌がると、後悔することになるかもしれません。
『将来、ご自身の退職金の準備と税金対策に、保険が良いですよ。掛けた保険料は、ほとんど戻ってきますし』
という売り文句で、保険の営業の方が近づいてくるかもしれません。
最近は、保険の料率が下がり、掛けた保険料が解約のときに全額戻ってくる商品は、ほとんどなくなりましたので、加入する人も大分減っているようですが・・・。
決算対策の保険は、一般的に将来の経営者の退職金の準備として、20年以上の長い期間、保険をかけ続けてピークに達します。もちろん、将来の準備も必要ですが、将来の準備をして今の資金繰りが苦しくなってしまっていは、本業に影響が出ます。
将来の退職金準備のための保険は、通常払った金額の半分は経費(損金)になり、半分は資産(積立金)になります。
半分しか、経費にならないことが大きな問題です。
具体的に、お金の動きを見てみましょう。
100万円利益が出て、年間100万円が保険料の保険に加入した場合です。
100万円の保険料のうち、半分の50万円が経費になりますので、利益は50万円です。
今の法人税の実効税率は、中小企業の場合約30%です。保険に入ると、50万円×30%=15万円です。
保険に入らなかった場合は、100万円×30%=30万円。
予定通り、税金は半分に減りました。
しかし、物事には両面あります。
現金預金の動きはどうなるでしょうか?
100万円利益が出て、30万円税金を払えば、70万円が手元に残ります。
一方、保険に加入した場合を計算してみます。
100万円利益が出て、100万円保険料を払います。半分しか経費になりませんので、50万円利益が出てそれに対する税金、15万円の税金を支払わなければいけません。
100万円の利益が出ましたが、保険料と税金を合わせた出金合計は115万円。差し引きすると、−15万円です。
節税して、税金を15万円減らすために、85万円余計にお金を使っています。
仮に、将来払い込んだ金額の90%が戻ってくるとしても、20年以上今の業績を続けることができるか?
色々と問題が出てきます。
保険の営業マンは、少しでも良い数字を見せるために、税効果を加味した返戻率を示してくることもあります。
税効果を加味した返戻率とは、保険に加入して税金が減った金額も、率に入れて計算します。
例えば、100万円保険料を払い、90万円保険の返戻金が戻り、10万円税金が減ったら、100%返戻率があったと計算するのです。
毎期、税金が出るとは限らないし、そもそも税率が大企業の税率で計算している場合もあります。
将来の保障のために、保険に加入するのであれば、止める理由はありません。
しかし、目先の節税のために、保険に加入することは、デメリットの方が多いと思います。
保険に加入するときには、長い目で検討してましょう。