こんにちは。
税理士の関口です。町田市つくし野で会計事務所を経営しています。
会社を経営していると、税金の支払いは、ずっとついて回ります。
しかも、税金の負担は結構重たいです。
普通の人ならば、税金はちゃんと使われていないし、できる限り少なくしたいなと思うでしょう。
そうなると、税金が最も少なくなるようにと考えてしまいます。
これが、間違いの始まりです。税金を最優先に考えてしまうと、意思決定が税金に縛られてしまいます。
本来ならば、手元にお金が一番残したいというのが正しい意思決定だと思いますが、とにかく税金を払いたくないとなってしまいます。
役員報酬の設定は、それが端的にあらわれます。
私は、仕事柄、設立したばかりの社長さんに「役員報酬をいくらにしたらよいか?」と質問されます。
そこには、ひとつ暗黙の条件があります。
「税金を一番少なくすること」
本来、役員報酬は、社長が「どんな生活を送りたいか?」社長の人生設計を決めてから逆算で設定することです。
どんなに税金が少なっても、生活が成り立たない金額では、続きませんね。
いくらのお金が必要かを第一に考えなければいけません。
わたしが、そのように説明しても、税金にこだわる人が非常に多いのが現状です。
オーナー社長は、個人の財産も会社の財産も区別なく、会社のお金も個人と考えている方が結構いらっしゃいます。
小さい会社の場合、社長の役員報酬は、経費の中でも割合が高く、利益に対する影響が非常に大きい。
だから、経費の中で最も影響力のある役員報酬を活用して、節税しようと考えます。
それは、正しい考え方です。しかし、順番が違います。
まず、人生設計があって、そのために必要なお金を設定します。
たとえば、子供にはしっかりと教育をしたいとか、年に1度は家族旅行に行きたいとか。
その社長の人生設計が達成した上で、次に考えるのが、会社の成長。その次が節税です。
オーナー社長の中には、個人と会社の区別をしっかりとつけていない方がいます。会社のお金を個人的に使ってしまうのです。
この場合、会社から社長への貸付になり、そういう会社は金融機関から非常に嫌われます。
会社にお金を貸しても、個人的に使ってしまうのかと思うと銀行はお金を貸したくなくなります。
公私の区別で言うと、会社設立当初は、自分一人で会社をやっている場合が多いので、会社と個人を一体に考えていてもほぼ問題は生じません。しかし、少しずつ会社が成長すると、会社に関わる人が多くなります。
会社と社長個人で、公私混同が行われている会社で働いているスタッフは、一生懸命働く気になるでしょうか?
多分、一生懸命働こうとは思わないでしょう。
社長は、誰からも怒られませんから、非常に難しいのですが、メリハリをしっかりとつけることが重要です。
資金繰りの観点からも、役員報酬の設定は注意が必要です。
会社にたくさん利益が出そうだから、なるべく役員報酬を多めに設定して、会社の利益はあまり出さないという考え方もありますが、そうすると、会社は、いつまでたっても資金繰りが楽になりません。
会社は、常に利益を出さないようにしているので、当然お金はたまっていきません。
会社で足りない分は、社長個人が貸し出せば良いとの意見もありますが、そうすると、公私混同が始まってしまいます。
私の顧問先で、毎年とても業績が良いのですが、法人税を払いたくないため、役員報酬を高めに設定しているところがあります。
その会社にはお金が残りませんので、いつも資金繰りに苦労して、役員から借入金が全然減っていきません。
会社と個人は、できる限り切り離して考えましょう。
役員報酬は、人生設計から逆算で金額を設定することをお勧めします。