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その節税に価値はある?

2017年05月30日(火)

こんにちは。
税理士の関口です。町田市つくし野で会計事務所を経営しています。
 
先日、本を読んでいたら、次のようなことが書いてありました。
 
「節税できたら、節税分利益の上乗せになる」
いままで経費として申告していなかったものを経費に計上し、100万円節税になったら、売上高利益率が2%の会社の場合、100万円の節税は、5,000万円の売上高の価値がある。
売上高利益率が2%の会社とは、売上高のうち2%が利益として残る会社ですから、100万円の売上高に対して2万円利益が出ます。算式は次のとおりです。100万円×2%=2万円。
今回の100万円の節税が、5,000万円の売上高の価値がると言うのは、100万円の利益から逆算して、利益を2%で割り返すと、100万円に対応する売上高が計算できるというわけです。100万円÷2%=5,000万円。
 
 
これは、本当でしょうか?
100万円の税金が少なくなる経費とは、いくらになるでしょう。
現在の法人税の実効税率は大体30%ですから、100万円を30%で割り返すと、必要な経費が計算できます。
100万円÷30%=333万円
333万円経費が増えれば、100万円税金が少なくなります。
 
300万円以上の経費を今まで計上していなかったのは、どうかと思いますが・・・
333万円経費が増えるということは、1億5,000万円以上の売上高に対する利益が減ってしまう計算です。
333万円の経費が増加=利益が333万円減少。売上高利益率2%の会社であれば、333万円÷2%=約1億6千万円。
税金減少に5,000万円の価値があるとして、経費の増加に1億5千万円以上の価値減少になるのではないでしょうか?
 
キャッシュの面を見ると、100万円税金は減りましたので、納税は減りました。しかし、経費が333万円増えています。
差し引きすると、233万円会社のキャッシュは減ります。
 
利益が減って、キャッシュも減る。
この節税のどの辺りに5,000万円の価値があるのでしょうか?
私の考えでは、1億円以上の価値減少になるのではないかと思います。
 
物事には、両面がありますので、自分の都合のよい面だけを捉えてしまうと、結局厳しい局面に立たされてしまうことはあるでしょう。
 
この本の著者は、中小企業の経営者ということでした。
本を出版しているぐらいなので、相当優秀な経営者であることには間違いありません。
そんな優秀な人でも、節税した方が得になるという先入観があり、税金に関しては冷静な判断ができていないようです。
どうしても、税金は取られる感覚があり、感情が先に来てしまうので、節税しないと損をするという感覚なんでしょう。
 
うちの顧問先でも、毎年しっかりと利益を出しているが、あの手この手で、節税する会社があります。
この節税をする会社は、利益は出ていますが、資金繰りは厳しい状態が続いています。
 
あまり節税しない会社もあります。
節税のための出費は無駄だと考えています。
 
節税する会社と節税しない会社を比較すると、節税をしない会社の方がキャッシュに余裕があります。
 
日本にある会社は、税金を支払うことで、会社の力をアップさせることができます。
先入観と感情ではなく、冷静に物事の両面を捉えて考えてましょう。

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