2016年4月21日に発行。276ページ。
「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門という副題がついているように、物の価値をファイナンスで計算するとどうなるかを説明している。
前半は、「価格」と「価値」に関する基本的な考え方が説明され、後半は、「MM理論」「現代ポートフォリオ理論」「CAPM理論」「オプション理論」というノーベル賞を受賞した考え方を解説してくれる。
「人は、物やサービスを買う時に、なぜ買うのか?」というと「人は、その物やサービスが良さそうに見えるから買う」と聞いたことがあります。
この本を読むと、そのことがよくわかる。大多数の人は、物を買う時に合理的な計算に基づいて買うわけではない。目の前の欲に負けて、合理的な判断ができないということが、この本を読むことで、非常によくわかる。
今後、選択を迫られた時に、ファイナンスの考え方を思い出して、冷静に考えると、非常にタチの悪い儲け話などに引っかかることはないのかなを感じた。
ただ、日本人の全員が、ファイナンス的な考え方で行動を始めると、日本経済は停滞してしまうような気もする。
不動産を買う時に、借金をして買った人と全部自分の貯金で買った人では、借金をして買った人は、「これから大変だ」と思い、自分の貯金で買った人には「すごい」と多くの人が思うが、実はそんなことはないのでは、という部分がなるほどと思った。
私は、事業経営しているので、借金に慣れているが、借金に慣れていない人は、借金に対して嫌悪感を持っている人もいるが、借金もそれほと悪者ではないと説明されている。
途中私のような文系の人間では「?」と思う計算式も出てくるが、計算式を理解できなくても、考え方の本質は理解できるように説明してくれている。
【目次】
第1章 「ねだん」と「ねうち」はちがう 現金の呪縛を解く
第2章 一番無価値なおカネの話 キャッシュフローの考え方
第3章 いま、いくら? 時間・リスク・金利の三角関係
第4章 不確実性とはなんなのか? 標準偏差とボランティリティ
第5章 正しい借金の考え方 MM理論
第6章 リスクだけを下げる錬金術 現代ポートフォリオ理論とCAPM
第7章 絶対に後悔しない買い物 オプション価格評価モデル