こんにちは。
税理士の関口義宏です。町田市つくし野で、会計事務所を経営しています。
私の知る限り、ほとんどの経営者は、なんでも下げようとします。
売れ行きが悪ければ、値下げをし、もっと利益を上げるために、経費削減。仕入は「1円でも少ない業者に頼もう」となります。
しかし、世の中、逆張りが正しいという人もいます。
本当に下げれば、うまくいくのでしょうか?
次のような商売をしている会社があるとします。
P(販売単価)が100。V(仕入単価)が10。Q(販売数量)が100。F(期間費用)が10,000です。
整理すると次のような状態です。
PQ(売上高) 10,000円
VQ(仕入原価) 1,000円
MQ(粗利額) 9,000円
F(期間費用) 10,000円
G(利益) ▲1,000円
赤字1,000円なので、経営者だったら、最低限早急に収支トントン、利益が0円を目指すと思います。
多くの社長がやっている、下げる方向の検証を行いましょう。
P(販売単価)を10%下げると…
P(販売単価)は、90。V(仕入単価)は、10のままです。Q(販売数量)が10%上がってくれると110。F(期間費用)は変わらず10,000円。
PQ(売上高) 9,900円
VQ(仕入原価) 1,000円
MQ(粗利額) 8,900円
F(期間費用) 10,000円
G(利益) ▲1,100円
何と、赤字が増えてしまいました。
ちなみに、P(販売単価)を10%値引し、利益をトントンまで引き上げるために必要なQ(販売数量)は…
P(販売単価)90-V(仕入単価)10=M(粗利単価)80
つまり、1個売れるごとに会社に80円利益が増えていきます。
この利益が、F(期間費用)10,000円を超える販売数量は、10,000円÷80円=125個です。
ちなみに、値引きをしない場合は、P(販売単価)100-V(仕入単価)10=M(粗利単価)90
1個売れるごとに会社に90円利益が増えていきます。期間費用を超える販売数量は、10,000円÷90円=112個でした。
私も、何度か低価格の報酬で、お客様を増やそうと試みました。
値引きと言っても、生半可な金額では、劇的にお客様の数が増えることはありませんでした。
値引き作戦がうまく行き、お客様の数が増えると、当然忙しくなります。
忙しくなると、お客様を大切にできないし、勉強する時間が無くなります。
事業をやっていく上では、最悪の循環に陥ってしまいます。
大企業は、値下げ作戦もありですが、中小零細企業では、値下げはやってはいけません。
私は、値下げを何度かチャレンジした結果、もう二度と販売単価を下げるのはやめようと心に決めました。(関口)