こんにちは。
税理士の関口義宏です。町田市つくし野で、会計事務所を経営しています。
全部原価計算では、簡単には目標の売上高を計算することができません。
今回は、簡単に目標売上高を計算できる直接原価計算の方法を説明します。
直接原価計算は、経費をその性質で分ける方法です。
①変動費
②固定費
経費を上記の2種類に分けます。
変動費とは、売上の増減に比例して増減する費用です。例えば、仕入高や外注費です。
固定費とは、売上の増減に関係なく発生する費用です。人件費や家賃、水道光熱費など、変動費以外の費用です。
ここでは「いいかげん」にやることが重要です。
「固定費と変動費を分けましょう」というと、きちっとした人は、電気代の基本料金は、毎月一定だから固定費。電気料金は毎月変動するから変動費。というようにとても細かく分けていきます。
しかし、目的は、目標売上高を決めるためなので、あまり細かく分けない方が良いです。
前回同様、パン工場とお店を持っている会社を例にしましょう。
パンの販売価格は1個当たり100円。材料代は1個当たり10円です。
工場の1ヶ月の経費は、人件費50万円・家賃20万円・電気代等その他の経費が30万円です。
お店の1ヶ月の経費は、人件費30万円・家賃10万円・その他経費が20万円です。
DC(直接原価)は、経費を性質で判断します。
材料代1個あたり10円は、変動費です。
工場でかかっている人件費50万円、家賃20万円、その他の経費30万円と、お店でかかっている人件費30万円、家賃10万円、その他の経費20万円は固定費で計算します。
損益計算書がそのようになるか見てみましょう。
◉3月は、パンを15,000個販売しました。
売上高 150万円
変動費
材料代 15万円
合計 15万円
売上総利益 135万円(売上総利益率=売上総利益÷売上高×100=90%)
固定費
人件費(工場) 50万円
家賃(工場) 20万円
その他経費(工場) 30万円
人件費(お店) 30万円
家賃(お店) 10万円
経費(お店) 20万円
合計 160万円
営業利益 ▲25万円
◉4月は、パンを17,000個販売しました。
売上高 170万円
変動費
材料代 17万円
合計 17万円
売上総利益 153万円(売上総利益率90%)
固定費
人件費(工場) 50万円
家賃(工場) 20万円
その他経費(工場) 30万円
人件費(お店) 30万円
家賃(お店) 10万円
経費(お店) 20万円
合計 160万円
営業利益 ▲7万円
全部原価計算でも、直接原価計算でも営業利益の金額は変わりません。
会計は、同じ資料を元にすれば、違う方法で計算しても結果は一緒になります。
ポイントは、売上総利益率が、変わらないことです。上記の例でも、3月、4月両方とも90%です。
目標の売上高は、下記の計算式で求めることができます。
目標売上高=(固定費+目標利益)÷売上総利益率
今回の例をもとに、目標売上高を計算してみると、以下のようになります。
(160万円+0万円)÷90%=178万円
178万円÷100円=17,800個
目標売上高は、178万円。
1ヶ月17,800個売ると利益がトントンになります。
売上高 178万円
変動費
材料代 18万円
合計 18万円
売上総利益 160万円(売上総利益率90%)
固定費
人件費(工場) 50万円
家賃(工場) 20万円
その他経費(工場) 30万円
人件費(お店) 30万円
家賃(お店) 10万円
経費(お店) 20万円
合計 160万円
営業利益 0万円
このように、DC(直接原価)で計算すると目標売上高を簡単に計算することができます。
法律上、全部原価計算で行わなければいけませんが、経営上は、直接原価計算で行い、意思決定をしましょう。