こんにちは。
税理士の関口義宏です。町田市つくし野で、会計事務所を経営しています。
原価計算① 原価計算の基礎で、原価計算の概要を書きました。その記事の最後に、一般的な原価計算は、経営判断には使えないとお伝えしました。
その理由を詳しく説明します。
前回お伝えした原価計算は、卸売・小売業など仕入れたものに手を加えず、販売する業種と飲食店業は、経営判断には使えます。
しかし、製造業や建設業などものを作る会社は、経営判断に使えません。
前回お伝えした原価計算は、FC(全部原価)という計算方法です。
この方法を、私は、その経費が原価になるか?販売費及び一般管理費(販管費)になるか?場所で判断する方法と言っています。
【パン工場とお店を持っている会社】を例に説明します。
その会社は、パンの販売価格は1個当たり100円。材料代は1個当たり10円です。
工場の1ヶ月の経費は、人件費50万円・家賃20万円・電気代等その他の経費が30万円です。
お店の1ヶ月の経費は、人件費30万円・家賃10万円・その他経費が20万円です。
FC(全部原価)は、経費を場所で判断しますから、工場でかかっている人件費50万円、家賃20万円、その他の経費30万円は、原価で計算します。
お店でかかっている人件費30万円、家賃10万円、その他の経費20万円は、販管費で計算します。
損益計算書がそのようになるか見てみましょう。
◉3月は、パンを15,000個販売しました。
売上高 150万円
売上原価
材料代 15万円
人件費 50万円
家賃 20万円
経費 30万円
合計 115万円
売上総利益 35万円(売上総利益率23%)
販管費
人件費 30万円
家賃 10万円
経費 20万円
合計 60万円
営業利益 ▲25万円
◉4月は、パンを17,000個販売しました。
売上高 170万円
売上原価
材料代 17万円
人件費 50万円
家賃 20万円
経費 30万円
合計 117万円
売上総利益 53万円(売上総利益率31%)
販管費
人件費 30万円
家賃 10万円
経費 20万円
合計 60万円
営業利益 ▲7万円
3月に比べ4月の赤字幅は減ったものの、2ヶ月連続の赤字、経営者だとこれはまずいと思います。
経営者は、1ヶ月で何個パンを販売すれば、トントンになるんだろうと考えます。
はたして、この会社は、5月にパンを何個販売すれば、赤字から脱出できるのでしょう?
この計算を、FC(全部原価)で計算するのは、至難の技です。
もし、興味のある方は計算して見てください。
次回、経営者用の原価計算をお伝えします。
※多少販売数量が増えても、人件費や家賃、その他の経費にはほとんど影響はありません。電気代や通信費など多少増減はあっても、微々たるものです。
あまり細かいことを考えないことがポイントです。(関口義宏)